パンデミック後の日常生活(衣食住編):「The Last of Us」

Part I
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パンデミック後の世界で日常生活を送っているのか

ゲームに限らず、ポストアポカリプスやサバイバルをテーマにした作品において主人公が陥るのが物資不足です。しかし、The Last of Usはジョエルとエリーの行動範囲だけではなく作品を通じて生活物資が足りなくて困っているという話はほぼ聞きません。2013年にパンデミックが発生してから20年後の日常生活における衣食住および通貨を考察します。

衣類

衣類について、生活する上で困るほど不足しているということはないようです。現実世界の戦後日本では、子どもが衣服をまとわずに青空教室の授業を受けるという光景が見られたようですが、これは空襲によって建物だけでなく衣服も燃えてしまったからです。作中世界では感染者がそこかしこに蔓延っていますが、建物に放火したり人間の衣服を奪い取るということはありません。とはいえ、パンデミック発生から20年後の2033年において軍事用の支給品を除き新たな衣服を生産していることはないと考えられます。感染者の出現によって人間の活動地域が大きく制限されてしまったたため、衣服の生産を行うための原料や資材、土地の余裕があれば人間の生命維持に直結する食料や居住区の確保に充てるはずだからです。

新たに生産しなくともパンデミックによって人口が大幅に減っていること、お洒落に気を遣う必要がないことなどから、20年前の衣服で事足りているのが2033年の作中世界なのだと推察できます。実際、隔離地域内外で生活している人々の服装はみすぼらしくも不便ではない格好であり、ピッツバーグにいたハンヴィーに乗ったハンターたちは銃撃を加えた二人の持ち物を確認していますが、服や靴を奪うことはせずその場を立ち去っています。略奪品リストには靴や衣類が記載されていたので、売り物にならないようならいらないということでしょう。

食料

人間が生きていく上で欠かせない食料については、隔離地域内と隔離地域外に分けて考える必要があります。最大の違いは配給の有無です。

隔離地域内

パンデミック後のアメリカは軍がクーデターを起こし軍事政権になっています。軍が隔離地域内の警備や検問、検疫を行っているだけでなく配給も担当していることから、食料の生産設備はあると考えられます。しかし配給量は十分でないため隔離地域内では配給カードが仕事や作業の対価としての役割を果たすことになっていたり、鳥か何かの肉を購入する人がいるようです。軍が配給する食料の量が少ないのは生産量そのものが少ないか軍が出し惜しみをしているかのどちらかですが、大抵は出し惜しんでた、というのがジョエルの弁です。

しかし、軍の立場からすればおそらく前者だと考えられます。食料が市民に行き渡らないと、隔離地域を抜け出そうとする人やジョエルとテス、ロバートのように非合法の商売を企てる人が出てくるだけではなく、暴動に発展するかもしれません。それでも軍としては感染者やハンター、ファイアフライに対抗するべく兵士の体力と士気を維持しなければならないため兵士を優先して配給量を調整しているのではないでしょうか。感染者という目下の敵がいる状況において、食料を出し惜しみして市民までを敵に回すことは避けたいはずです。

隔離地域外

軍の監視を逃れる代わりに庇護も失っている隔離地域外では食料事情が異なります。隔離地域外は軍事政権が定義する法律の枠外で生活をする、つまり非合法の生活になるため当然のことながら配給は行われません。そのため自力で食糧を確保する必要があります。隔離地域外で暮らす人々はハンターや調達屋、反政府組織、地域コミュニティの住人など様々です。共通することは、善悪は別としてそれぞれに仕事がありその糧として食料を得ているということです。ハンターは自分たちのグループ以外から、時には軍から食料を強奪し、調達屋は求められる物資を供給する対価として食料を得て、地域コミュニティの住人は野生動物の狩りや描写はありませんが釣りを行う狩猟採集生活を送っているはずです。反政府組織であるファイアフライほどの大規模集団であれば、敵である軍から強奪するだけでなく、自前の食料生産設備や農場を持っている可能性もあります。

作中では食事をするときに缶詰が登場することがありますが、パンデミック前に生産されていた缶詰が20年後も残っていたというわけではなく、パンデミック後に保存が利く食料として生産されているものでしょう。缶詰の一般的な消費期限は数年程度で、20年もの間管理されていない場所で放置されていた保存状態の悪い缶詰が食べられるとは考えにくいです。また、ベーコンの缶詰を見つけたという話をしている金融街のハンターは軽いやり取りで仲間に分ける約束をしています。

もし食べるものに困っているのなら、これほど簡単に融通するということはできないはずです。つまり、ベーコンの缶詰を欲しがっているハンターは食料が不足しているわけではなく嗜好品としてベーコンが食べたくて譲るようねだっていたのでしょう。さらに、調達屋のビルはエリーに「どうせ食い過ぎでしょこのデブ!」と罵られるほど恰幅の良い体型を維持しています。

要は、隔離地域外では自分の仕事が出来る人は食うに困らない程度の食料を得ることができ、仕事が出来ない人は淘汰されるということなのでしょう。

住環境

人が寝食を行う住居については、隔離地域内外を問わずパンデミック前に建てられた家屋をそのまま活用していると考えられます。もちろん20年の歳月が経過していることから建物は大きく損耗し、修繕も行われていません。人々は生きることに精一杯であり、住環境を整えるためのリソースがないからです。それでも、隔離地域のスラム街で視線を上に向けると窓はしっかりはめ込まれていて、洗濯物が干されています。

パンデミック発生直後はまだしも、現在は2階や3階以上であれば経年劣化や住人の不注意による損傷を除いて建物の機能は利用できるようです。インフラについて、隔離地域内で電気は利用されていないことが「Left behind-残されたもの」でのライリーの言葉で明らかになっており、ガスと水道についてもおそらく使えないはずです。スラム街の商店にはカセットコンロやポリタンクが売られていました。

ジョエルやエリーが足を踏み入れる隔離地域外の住居はただ寝るだけという場所も多く、生活空間という視点で住環境を整えることはなさそうです。

もちろん、トミーの街のようにパンデミック前の生活を取り戻そうと発電設備を復活させるなど大きな成果を上げているコミュニティもありますが、それは例外です。屋根があるだけで満足しなければならない、というのが作中世界の2033年における隔離地域外での普通の暮らしになっているはずです。

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