The Last of Usシリーズの作中における西暦:「The Last of Us」

Part II

The Last of Us Part Iにおいて、ジョエルとエリーが出会い全米を横断することになる旅が始まるのはパンデミック発生から20年後です。続編であるPart IIは、公式サイトに「アメリカを横断した危険な旅路から5年」という触れ込みがあり、前作から5年後の物語であることを示唆しています。また、ニール・ドラックマンが話しただけでなくプレイステーション公式ブログによる潘めぐみさんへのインタビューにも「19歳になったエリー」という文言もあり、前作でエリー本人の口から14歳だと語られたことと合致するように思えます。

しかし、The Last of Us Part IIのストーリーを時系列順に追いかけていくと、Part IIのストーリーが前作の5年後ということに疑問が生じます。Part IIの現在に当たるチャプターは前作のラストシーンから4年が経った時点であり、5年後ではないのです。この記事では、The Last of Usの作中世界における西暦を検証します。

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The Last of Us Part Iの西暦

The Last of Us Part Iの舞台となった西暦は高い確度で推し量ることが可能です。ジョエルに誕生日プレゼントを渡したあとにトミーからの電話で目覚めたサラを操作するパートにおいて、プレイヤーは洗面室で新聞を手に取ることができ、その新聞には2013年9月26日という日付があるのです。

このときの時刻はジョエルの誕生日から日付が変わった深夜2時15分の数分前であると考えられ、まだ当日の新聞は自宅に配達されていないはずです。

そのため、ジョエルが相当ずぼらな性格でなければこの新聞は昨日、ジョエルの誕生日の日のものです。つまり、ジョエルの誕生日が9月26日で、パンデミック発生は日付が変わった2013年9月27日だと推測できます。

その後、ボストンの隔離地域に舞台が遷移するときは20年後という表記があります。

この時期は夏なので、7月もしくは8月あたりだと考えられます。この月日から計算すると、20年後の夏とは2033年の7月もしくは8月だと考えられますが、この場合、正確には19年と10~11ヶ月しか経っていません。しかし、2034年の7月もしくは8月と考えるとなると、20年と10~11ヶ月が経過していることになります。Part Iの西暦はこの二つの可能性が考えられますが、常識的に考えて「20年後」という表記は前者のほうが適当でしょう。そのため、Part Iでは2033年の夏にジョエルとエリーが出会い、2034年の春にユタ州にあるファイアフライの病院(セントメリーズ病院)に到着したと考えて良いはずです。到着日の具体的な日付はマーリーンの日誌によって明らかになっており、4月28日です。

The Last of Us Part IIの西暦

Part IIの冒頭、ジョエルがトミーにセントメリーズ病院で起きた顛末を話し、エリーにギターを渡すというシーンが描かれるプロローグは前作のラストシーンから間もない頃だと考えられます。前作のラストシーンでトミーの街を眼下にエリーがジョエルに「車で話したことが本当だと誓って」と迫ったあと、ジョエルとエリーは街に入り、トミーたちの歓待を受けたでしょう。トミーとマリアはジョエルとエリーが東コロラド大学の研究棟に向かった理由を知っており、無事に帰ってきた二人に対し半年弱の間にあった出来事を聞くはずです。

ジョエルとしてもトミー夫妻に何があったのかを話さずにこの街に居を定めることは出来ないと判断するでしょう。そこで、ジョエルはエリーを休ませ、その間にトミーのパトロールに同行するかたちで二人だけになり、病院での顛末を話したのではないでしょうか。こういった経緯があったと想像すると、Part IIの冒頭シーンは前作のラストシーンの当日、もしくは翌日だったと考えるのが妥当です。

エリーにギターを渡し、明日の夜から教えるという約束を交わすシーンは「The Last of Us: One Night Live」の「Epilogue of the epilogue」で演じられた内容が原形であり、前作のラストシーンから数週間後の話だと紹介されていました。

エリーに渡したギターはジョエルがトミーに病院での顛末を語ったときに磨いていた蛾のマークが入っているものです。

トミーはこのときに銃を持っていて、馬に乗って小屋を出るときに真新しい感染者の死体が転がっていることからジョエルがトミーのパトロールに同行したことはほぼ確実で、パトロールに裸のギターを持っていく必要はありません。この小屋でギターを見つけ、ジョエルが修理してからギターを弾く感覚を取り戻すために数週間を要したのではないでしょうか。こういったことからも、Part IIにおけるプロローグは前作のラストシーンから数週間が経った頃のことだと推測できます。

Part IIの現在は前作の4年後

Part IIは複数の時間軸が描かれる構成になっていますが、過去のシーンが描かれる際は”○ヵ月前”、”○年前”という表記になっています。

一方、プロローグに次ぐチャプターの「起床」では開始時に”4年後”という表記があり、Part IIのストーリーにおける現在に当たる時間軸のスタートとなるのです。

Part IIの現在が前作のラストシーン(2034年春)から4年後ならばその時点の西暦は2038年であり、「アメリカを横断した危険な旅路から5年」という触れ込みとは1年の乖離があります。

矛盾が生じるエリーの年齢

ほかに作中世界の西暦を推定するための要素として、エリーの年齢が挙げられます。Part Iでジョエルとエリーが出会い隠れ家に移動するとき、エリーは自身が14歳であると語っています。

この季節は夏で、さらにPart IIでは夏の季節にエリーの誕生日プレゼントとしてジョエルに連れられて博物館に行くシーンが描かれています。つまり、エリーの誕生日は夏であり、Part Iでジョエルと出会った頃のエリーは誕生日を迎えた直後の14歳であるか、15歳の誕生日を迎える直前の14歳であるということになります。

このことからエリーの生まれ年は2018年もしくは2019年だと推測できます。2018年の夏生まれであれば、Part Iでジョエルと出会った頃(2033年夏)のエリーは15歳の誕生日を迎える直前の14歳で、ジョエルと出会った直後に15歳になり、2035年の夏に17歳の誕生日プレゼントとして博物館に行ったことになります。

過去記事で、エリーとアビーがシアトルで過ごした3日間は2038年の5月だと推定しました。

この前提であれば、エリーは数ヶ月後に20歳の誕生日を迎える19歳のときにシアトルにいたということになり、「19歳になったエリー」という触れ込みとも合致します。

American Dreamsの時点で13歳だったエリー

しかし、エリーが2018年生まれで2038年の夏に20歳になるとすると、過去の作品で明らかになっている年齢と矛盾が生じてしまうのです。

The Last of Us Remasterdにおいて、モーションコミック版「American Dreams」の第一話が収録されていました。

American Dreamsの第一話における冒頭ナレーションを引用します。

寄生型の菌類が蔓延し、人類の大半を感染させてから19年が経っていた。わずかに残った安全な隔離地域の一つボストンでは、13歳になった孤児はみな軍の寄宿学校へと入学させられる。その学校に、また一人の少女が移送されてきた。名前はエリー。この物語はエリーがジョエルと出会う前の出来事である。

モーションコミック版「The Last of Us American Dreams」より

このナレーションから分かることは、American Dreamsがパンデミック発生から19年後、つまり2032年の物語だということと、この時点でエリーは13歳だということです。

作中でのエリーやライリーの服装を見ると秋もしくは冬の出来事だと推測でき、エリーが2032年の夏に13歳の誕生日を迎え、その年の秋もしくは冬に寄宿学校に移送されたはずです。つまり、エリーは2018年生まれではなく2019年生まれで、Part Iでジョエルと出会ったときは14歳になった直後であり、Part IIの現在に当たるシアトルで過ごした2038年5月は数ヶ月後に19歳の誕生日を迎える18歳だったのです。

American Dreamsで明らかになっているエリーの年齢を軸に考えると、Part IIの触れ込みにおける「19歳になったエリー」はシアトルで過ごしたときではなくディーナ、JJと農場で暮らしているシーンのみです。

The Last of Us Part IIのストーリーは2038年

このように考えると、「19歳になったエリー」という触れ込みはほぼ誤りであり、「危険な旅路から5年」という触れ込みも「前作のラストシーンから5年」ではなく「前作の旅路が始まったときから5年」だと考えれば西暦に関してのみ一応の辻褄は合いますが、これは拡大解釈であり、英語版公式サイトでも旅が始まったときから数えて5年というニュアンスではありません。

これらの触れ込みがあることによってPart IIのストーリーが西暦何年のことであるかということを特定しにくくなっているのです。先述した通り、作中において現在の時間軸に当たるシーンの冒頭には”4年後”という表記があり、「危険な旅路から5年(前作の旅が終わってから5年)」という触れ込みをそのまま取り入れて考えるとなるとトミーに病院での顛末を話しエリーにギターを渡すプロローグが前作のラストシーンから1年が経った頃の出来事だと解釈しなければなりません。しかし、1年もの間トミーに病院で起きたことを隠し通すとは考えにくく、またジョエルが「みんなエリーのことを気にいってるし助かってるって言ってた」ということを街に来てから1年が経ってから言うのも不自然すぎます。さらに前作のラストシーン直後にトミーの街に入らず、1年間放浪していたとするのはもっと不自然です。

「アメリカを横断した危険な旅路から5年」、「19歳になったエリー」は誤り

「アメリカを横断した危険な旅路から5年」、「19歳になったエリー」という文言は公式のものではありますが、シリーズ作品を追っていくと正しいものではないと考えられます。当サイトでは触れ込みよりもゲーム中の”4年後”という表記を重視し、The Last of Us Part IIのストーリーは2038年の出来事であると結論づけます。

「American dreames」から「Part II」までの作中における西暦

これまでに発表されたThe Last of Usシリーズにおける作中の西暦をまとめると、

  • 2032年:The Last of Us American Dreams
  • 2033年:The Last of Us Left Behind
  • 2033年-2034年:The Last of Us
  • 2038年:The Last of Us Part II

ということになります。The Last of Us Part IIで描かれる過去シーンの西暦については過去記事をご参照ください。

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